ホットロード│あらすじ&感想〜私の思春期に影響を与えた漫画〜
2016/11/25
作品情報
作品名:ホットロード
巻数:全4巻(完結)
著者:紡木たく
出版社:集英社
掲載紙:別冊マーガレット
あらすじ
“夜明けの蒼い道赤いテイルランプ去ってゆく細いうしろ姿もう一度あの頃のあの子たちに逢いたい逢いたい……”母親と2人で暮らす14歳の少女・和希。親の愛に恵まれず、行き場のない不満を抱える彼女は、ある日、刹那的に生きる暴走族の少年・ハルヤマと出会う。どこか似たもの同士の2人は、いつしか互いに惹かれあっていき…。
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この記事の目次
「ホットロード」の感想
自分とは違う世界に生きる和希に憧れながら読んだ作品
自分自身が中学生の時に読みました。
主人公の和希も同じ中学生だったので、自分とは全く違う世界に生きる和希に少し憧れたのを覚えています。
母親からの愛情を感じることができずに反発し家出をした和希は、暴走族に所属している春山と一緒に暮らし始めます。
自分が大人になった今考えてみれば、『中学生と16歳の男女がふたりきりで一緒に暮らすなんて、そんなの絶対ありえないし不自然!』と思ってしまいますが、当時は物語の中にどっぷりつかり、そんな不自然な状況にも気づきませんでした。
特に印象に残っているのは1巻の最後から2巻の初めにかけてのシーン。
訳あって危ない目に合いそうになった和希を春山が助けにくる場面は、手に汗握りながら読んだことが懐かしいです。
作者の紡木たくさんの絵は、目が大きくてキラキラしていて洋服はかわいらしくてという感じの、いわゆる少女漫画っぽい感じがなく、さっぱりとしているというか、透明感があって素敵でした。
一昨年、映画化された時はびっくりしましたし、また再び注目されて、書店の店頭でも漫画を目にしたのでとても懐かしかったです。
初めて読んだ時からもう何十年か経ってしまって、あの頃と同じ気持ちで読むことは到底できませんが、間違いなく私の思春期に影響を与えた作品と言えます。
ライター:nico(40代女性)
和希と同じように前髪を少しだけ脱色した思い出
自分は和希のように、不良グループの仲間になるような大胆なことはできない。でも少しだけマネしてみようと思って、前髪をほんの少しだけオキシドールで脱色しました。
それすらもびくびくしながら薬局でオキシドールを買い(今のドラッグストアみたいに気軽にお店に入れるような雰囲気じゃなかったんです)1人お風呂場で和希と同じようにと、ドキドキでやったことを思い出します。
それでも周りは髪茶色くしたでしょ、と大騒ぎ。ちなみに和希は一気にかぶって金髪にしちゃいましたけどね。笑
春山のお母さんに髪の毛がかわいそうよ、と言われるシーンが心に残っています。
当時和希と同じように両親の不和の問題を自分自身も抱えていたため、主人公に自分自身を重ねながら読んでいました。
昨年実写化されましたが、自分の中での作品のイメージを壊したくないので、あえて見ていません。
作品では最後にお母さんの再婚を和希が許し、お母さんとのわだかまりが解けるのですが、私自身はそんなに簡単に家族を許すことができませんでした。
そこが漫画の世界と実社会の違うところですかね。そんなに簡単に人を許せるものではないですよ。
不良、暴走族なんて今の時代ではめったにお目にかかりませんが、あの時代はたいてい中学に不良グループなんて普通にいましたからね。
自分はその世界に入り込めないけど、すぐそこで起きているような話だったから感情移入できたのかもしれません。
ライター:ひすいあさこ(40代女性)
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映画版「ホットロード」
- 公開:2014年8月16日
- 主演:能年玲奈・登坂広臣
- 上映時間:119分
映画版「ホットロード」の感想
まず初めに原作コミックドンぴしゃの世代ではあるのですが、全く読んだことはありません。
また、関西在住のため湘南周辺の雰囲気が分からない(治安の善し悪し等)ので、逆に何の先入観も全くないまま観始めました。
他のレビューでも書かれていますが、ストーリー展開に無理が多い気がします。
この感想は原作世代より若い方に多く見受けられますが、原作世代の者としても納得がいかない点が多々ありました。
まず、あまりに環境の違う二人が惹かれ合うことは映画ではよくあることですが、そこは丁寧に二人の描写をしなければ、何故お互いに魅力を感じているのか、観客が理解できません。
それ故に、その後の展開でも観ている者が二人に感情移入できないまま話が進んでいくので、ラストへ向けての盛り上げの途中で、「何を必死になってるの?」とどんどん冷めていきました。
一旦冷めてしまうと、少人数と大勢の喧嘩もありえないシチュエーションに思えていまいますし、当時の暴走族なら確実に命を取るとこを???で済ませてしまうところも、「なんやそれ?」と腰砕けになってしまいます。
スタッフが昭和の暴走族の生態を調べきっていないまま描いたとしか思えません。
唯一主人公が乗っていたバイクやファッションは当時を懐かしく思い出すことができて嬉しかったので、そこは中年からの加点ポイントです。
ライター:大津っ子(50代男性)