陰陽師│あらすじ&感想〜映画にもなった夢枕獏の原作小説の漫画版〜
2017/05/18
作品情報
作品名:陰陽師
巻数:全13巻(完結)
著者:岡野玲子・夢枕獏
出版社:白泉社
掲載紙:MELODY
あらすじ
平安時代、稀代の魔術師と恐れられた陰陽師・安倍晴明。盟友にして管弦の道を究めた王子・源博雅と共に都の怪異に挑む。
この記事の目次
「陰陽師」の感想
本屋さんでアルバイトしていたときに、この作品の表紙だけを見て、なんだかちょっと怖いかもと思ったことを覚えています。
写実的な絵なので、カワウソと人間が夫婦になるなど少し衝撃的な場面もありますが、全体的にとても面白いです。
私は歴史が大好きで、その中でも特に平安時代が好きなので、この漫画は本当に私のど真ん中でした。
陰陽師の安倍晴明が都でおきる様々な怪異を友人の源博雅と解決するというストーリーで、中には菅原道真や藤原時平、醍醐天皇、村上天皇、冷泉天皇など、歴史が大好きな人であればむさぼるように読んでしまう内容だと思います。
村上天皇のお后の話や大鏡など、昔の書物に書かれているエピソードも取り入れられていて、そのあたりもとても面白いです。
平安時代の昔では闇がまだ存在し、いわゆる鬼や物の怪の類が横行していたと言われていますが、この漫画を読んでいると、確かに千年以上の歴史をもつ京都ならそういうこともあるのかもしれないという気分にさせてくれます。
本当にそういうものが見えてしまったら大変だけど、星の動きや様々な自然の現象から災難を避けるような仕組みが徐々につくられていて、たとえば節分など現代でも残っている行事にはそういう意味があったんだなと考えたりしました。
ライター:セクレタリー(30代女性)
映画版「陰陽師」
- 公開(陰陽師):2001年10月6日
- 上映時間(陰陽師):116分
- 公開(陰陽師II):2003年10月4日
- 上映時間(陰陽師II):115分
- 主演:野村萬斎
映画版「陰陽師」の感想
伊藤英明が演じる源博雅と、野村萬斎が演じる安倍晴明のビジュアルが夢枕獏原作・岡野玲子画の「陰陽師」にぴったりハマっており、博雅の世間知らずなおぼちゃま気質な風情や、すっとぼけた表情など見事に再現されているところがツボにはまります。
晴明の妖艶でしなやかな身のこなしが体現できるのも野村萬斎ならではで、この2人の組み合わせ以外考えられない配役だった思います。
日美子にもう少し可憐さと儚さがあれば引き込まれていたかもしれません。
蜜虫役の今井絵理子は完全に配役ミスだと感じます。彼女が映るととたんに学芸会になってしまう演技力に、物語への注意がそがれてしまいます。
真田広之演じる導尊の重みのある演技には引き込まれましたが、導尊との闘いのシーンのワイヤーアクションにはひどく違和感を感じ、やはり人を超越したものの動きを再現する難しさを感じました。
終始不吉な展開を予測させる夜が中心の暗い描写はとても良かったのですが、時折映画にするのはお粗末に感じる、安い時代劇のような空気になってしまうシーンがあり、古の風雅を終始貫いてほしかったです。
ストーリーは勧善懲悪という単純なものなので、役者の演技力によっては学芸会になり得る危うさのある映画でした。
ライター:にゃき(40代女性)
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