天にひびき│あらすじ&感想〜指揮者の凄さや魅力が伝わってくる青春音楽マンガ〜
作品情報
作品名:天にひびき
巻数:全10巻(完結)
著者:やまむらはじめ
出版社:少年画報社
掲載紙:ヤングキングアワーズ
あらすじ
久住秋央はヴァイオリンを習う少年。秋央は幼馴染みの少女・迫田美月の父親がコンサートマスターを務めるコンサートの練習を見に来ていた。だが、指揮者の曽成氏とオーケストラの息は全く合わず、休憩時に曽成氏は失踪。そこへ現れた少女が、父の代わりだといきなり指揮を振り始め…!?天才少女との鮮烈な出会い…そして、秋央は成長し…音を奏でる若者達の音楽青春ストーリー!!
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「天にひびき」の感想
指揮者がメインスポットに当たるのは珍しい。中学のときに演奏会などでクラスから指揮者をだした経験がある方も多いだろう。
あの経験からすれば、指揮者などただリズムにあわせて棒をふっているだけで、みんなが作る音への影響は微々たるもの。
むしろいなくても問題ないのではないかと思わせる存在だ。……しかしそんなイメージは覆される。
音楽モノといえば特定の楽器を演奏する、もしくは合奏で魅せるものが主流だ。
そんななか、実際には吹かない叩かない音を出さない、されど音をつくるうえで非常に重要な役割を担っている指揮者。
そんなオケのなかでも異質な存在が全面にでて、その凄さや不可思議な魅力が伝わってくる漫画である。
確かに指揮者という存在よりも、指揮者個人の個性が際立つがゆえに、指揮者という役割にも過剰に光があたっているようにも思う。
主人公が追い求めるのも、指揮者というより彼女という存在なのだから。
その過程で成長する秋央も確かに魅力的だ。
しかし、そんなひびきの個が際立つ一方で、指揮者という役割は背景に退くどころか、いつの間にか個が指揮者に吸収され、指揮に見入るのだ。
指揮は奏でない。しかし彼女も、彼もまた、音を確かにつくるのだ。
原作ラストの流れにもやもやが残る面はあったが、そんな指揮者の魅力が伝わる素敵な作品だった。
ライター:Wahoo(20代男性)
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